なになに暮らし

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ゆっくりと生きている~通勤電車の車窓から~

2019年10月30日 [ バナナ 博多駅 通勤電車 ]
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通勤で乗っている各停電車は、

博多駅で5分ほど止まる。

各停電車から快速電車や特急に

乗り継ぐ人々のために

時間調整をしているのだ。

 

駅に着くと、

電車から人々が降りていく。

空いた座席に座り、

発車時刻までぼんやりとホームを眺めている。

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ゆっくりと生きている~通勤電車の車窓から~

博多駅のホーム

特急の自由席を確保するため、

2列に並んで列車を待っている人々。

友人と雑談したり、

やんちゃな子供を窘めているお母さん、

スマホを見入っている若者、おじさん、お姉さん。

 

みんなワサワサしながらも

2列を形取って列車をまっている。

 

ゆっくりと生きている~通勤電車の車窓から~

スマホをしていない

ちょっと眠気を感じながら、

窓によりかかり、

ぼんやりとした視線の先に…

 

ちょっと違和感を覚えた。

 

列に並ぶでもなく、

休憩室に入るでもなく、

何かを見ているわけでもない。

 

ホームの人々と少し距離を置くかのように、

列から離れて

ぽつんと立っているひとりの若者。

 

今時の若者なのにスマホをしていない、

だから私の目を引いたのか?

 

体の線は細く、

イケテル風中国の若者によくいる

マッシュルームの刈り上げ頭に

無地の白T、短めのスリムパンツ。

 

美容師にいるな、あんな子。

 

リュックではなく、

エコバック風のぺたんこ布バッグを

肩にかけ、たたずんでいる。

 

なんとなく引っかかる。

 

見るような見ないような

時々視線をそらしながら

視界内にはしっかり彼を捉えていた。

 

ゆっくりと生きている~通勤電車の車窓から~

バナナ

数分後、

彼はふとバッグに手を入れて

おもむろに取り出した、

 

それは、バナナ!

 

カロリーメイトでもなく、

おにぎりでも、

パンでもない。

 

生のバナナである。

 

彼はそれを左手でそっと支え、

右手の人差し指と親指の先っちょで

1枚1枚、丁寧に剥いていく。

 

彼の周り2m程がバリアで包まれているかように

そこはすっかり彼だけの世界になっている。

もう周りの雑踏など聞こえない。

 

きっと彼は自分の部屋にいるのと同じように

落ち着いた心地でバナナを剥いている。

 

彼はバナナだけに集中している。

まず、ちょっとだけ上部をかじって

目の前のゴミ箱にペッとした。

 

バナナのお尻を残すのはわかるけど、

まず頭を外す?……

 

きっとバナナを食べる時、

彼はいつもそうするのだろう。

 

それから丁寧にバナナを食べはじめた。

一口ずつゆっくりと味わいながら

丁寧にバナナを食べ進んだ。

 

ゆっくり、ゆっくりと

数分間が過ぎていった。

実際は数十秒のはず、だけど…

 

バナナを食べ終わると同時に、

電車がホームに滑り込んでくる。

 

一気にホームの雑踏が呼び戻され、

何事もなかったように

彼は電車に乗り込んでいった。

そして私が座っている電車も

ドアが閉まり、ゆっくりと動き出した。

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彼がゆっくりとバナナを味わっていた間、

私も、

ゆったりとした時間を共有した。

 

 

 

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